東日本銀行の不適切融資、スルガ銀の不正融資と岡野オーナー役員報酬2億円

東日本銀行への業務改善命令

 

金融庁は7月13日、金利と別に多額の手数料を顧客から取るなど不適切融資を重ねていたとして、地銀最大手、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)傘下の東日本銀行に業務改善命令を出した。

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 横浜銀行と東日本銀が経営統合し、16年4月に発足したコンコルディアFG。「ともに元国税庁長官の横浜銀の寺沢辰麿頭取(当時)と東日本銀の石井道遠頭取(同)の、天下りトップが主導した地銀連合」(金融庁関係者)だが、規模、収益力で劣る東日本銀では、統合で不利な立場にならないよう営業現場に過度な圧力がかかっていたという。「6月に会長に退いたものの、石井氏の責任は免れ得ない」(同前)見通しだ。

 しかし、東日本銀の不正融資は、氷山の一角との見方が有力だ。「マイナス金利で利ざやが取れない中、収益を確保するため不正に手を染める土壌はどこの地銀にもある」(地銀関係者)とされる。

 その象徴が、シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナー向け融資で不正が発覚したスルガ銀行。外部の第三者委員会が8月末に報告書をまとめる予定だ。焦点は創業家で事実上のオーナー、岡野光喜会長の責任だが、「自己破産するオーナーも出る中、昨年度報酬はメガバンクトップを上回る1億9700万円。実弟で16年に急逝した岡野喜之助元副社長には5億6500万円の退職慰労金が支払われた」(同前)

 スルガ銀関係者は「喜之助氏はかぼちゃの馬車を運営するスマートデイズ社の不正を見抜き、一時は出禁扱いにした。会長に物が言える数少ない1人だったが、急逝で全て先送りされた」と悔いる。一方の岡野氏は最近も「あれくらい大したことはない」と悪びれる様子もないという。

 しかし「行政処分の内容次第で不正融資に関する追加の引当金負担が生じ、過小資本に陥る可能性もある。岡野氏を退任させた上での“身売り”は避けられない」(前出・地銀関係者)と見られる。

 その再編先として浮上しているのが、件(くだん)のコンコルディアFGだ。スルガ銀の顧客の9割は首都圏を中心とする個人で、統合メリットも小さくはない。だが、地銀を取り巻く環境は改善の兆しが見えないまま。“地銀の雄”コンコルディアの未来は暗い。

(文春オンラインより)

不正が発覚しても……スルガ銀行の“ドン”岡野会長の報酬は2億円 | 文春オンライン

 

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東日本銀行の不適切融資については、マイナス金利の影響でどこの銀行も手数料ビジネスに注力せざるを得ない状況であり、東日本銀行の取組方の問題はあったにせよ、日本の銀行がぶち当たっている大きな問題である。

手数料ビジネスにおいて重要な点は、手数料に対する正当な対価があるかどうかであるが、東日本銀行は融資先に根拠があいまいな手数料を要求したもの。

また、地方自治体が手数料の徴収を禁じている公的な融資でも中小企業から手数料を取っていた。不適切な手数料の総額は5億円近くに達した。本部の監査は書類や手続きの外形的な点検にとどまり、支店の営業を監督する本店の融資・営業統括部門も発見できなかった。

金融庁によると、その他の事案としては、複数の支店長や副支店長が、営業成績を上げるため、担当エリア内で融資先企業に営業所を登記させ、繰り返し融資を実行。営業所の実体はなかったが、その営業所を通じて企業に融資したことにし、自らの営業成績に算入していた。本店の審査部門も見過ごし、ずさんな融資の結果、7億円超の損失が発生した。過去にも同様の不正融資があり、再発防止策を策定したが、防げなかったという。

興味深いのはコンコルディアGrが天下りトップが主導した合併で、統合後に不適切融資が発覚したことにある。合併前の貸出資産の積み上げとは言え、銀行の融資業務は貸出の返済が終了するまで、案件を承認したプロセスは通常記録は保存されるもの。よって、簡単に合併の相手行の知るところとなると想像できるが、集団で暴走するとこのよな結果を必然と導き出すということであろうか。

マイナス金利は例えて言うなら、銀行の大半を占めるコア業務がある日突然慢性的な赤字になったというもので、銀行に与える影響は極めて大きく、地方銀行が抱える問題は山積していると言えるであろう。

かぼちゃの馬車」融資問題

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スマートデイズは2012年設立のシェアハウスであり、タレントのベッキーをCMに起用し、敷金・礼金不要の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を中心に、首都圏で約900棟のシェアハウスを展開していた。「『家賃0円・空室有』でも儲かる不動産投資」との触れ込みで、個人投資家らに購入させたシェアハウスを一括で借り上げ、家賃を入居状況に関わらず保証する「サブリース」の形態を取っており、投資家オーナーは約700名に上った。その大半が銀行で多額の融資を受けて、長期の賃料収入を保証され、返せると踏んで、1棟あたり数千万円から数億円の割高な価格で物件を購入していた

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しかし、入居率が低迷し、2017年10月以降、水道光熱費の滞りが発生、オーナーに保証した家賃を減額し、2018年1月には完全に家賃の支払いがなくなった。そして、同年4月に民事再生法の適用を申請した。

事業破綻を受け、シェアハウス投資家の大半が融資の返済が困難となったことを受けて、被害弁護団が設立され、スルガ銀行に全容解明と金銭消費貸借契約(融資契約)の撤回を要求したが、スルガ銀行は「答えられない」と回答。弁護団長の河合弘之は、「スマートデイズスルガ銀行が組み、被害を受けたという事件の本質を認めない。銀行としての責任に全く欠ける対応」と非難した。スマートデイズは、セミナー等を通じて集めた、シェアハウスオーナーに関心を持つ会社員らにメーンバンクであるスルガ銀行での融資を勧め、提出させた通帳の写しの預金残高が少なかった場合には、写しを改竄するなどの手口で、貯蓄や所得を水増しした上で、投資家にスルガ銀行横浜市内の支店を通じて、融資を受けさせていた。金融庁は、スルガ銀行の審査体制の問題だけでなく、通帳の写し改竄などの過程でスルガ銀行側も結託していた可能性を指摘している。

金融庁は、2018年3月16日、スルガ銀行に対して報告徴求命令を出し、実態の解明、報告を命じた。

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さらに続けて、金融庁は、同行役員がシェアハウス融資の過程で、不正行為に関与していた可能性があるとして、同行への緊急立ち入り調査を開始した。

朝日新聞は、地方の投資用マンションを一棟買いする別の不動産業者が絡む融資案件でも、預金額や年収の水増しなどの不正が発覚したと報じている。

同日、スルガ銀行が横浜東口支店、渋谷支店、二子玉川支店を対象とした社内調査の結果を公表。「かぼちゃの馬車」を含むシェアハウス向け融資が2,035億円(顧客数1,258名)に上ることを明らかにした。しかし、東京商工リサーチの独自調査によって、これら3支店とは別に、川崎支店が行った、株式会社ガヤルドが展開するミニアパート「テラス」向けのサブリースに対する約1億5,000万円の融資も発覚しており、さらに膨らむ可能性がある。ガヤルドは2003年6月設立の注文住宅やマンション分譲会社であり、代金を支払ったにもかかわらず、工事がストップする事例が相次いで発生。代表者や従業員も行方をくらませた。

また、融資書類の改竄に関しては「相当数の社員が不正を認識していた可能性がある」ことを認めた。

Wikipediaより)

スルガ銀行 - Wikipedia

 

スルガ銀行の問題となっている融資は預金額や年収の水増しなどによる不正であり、東日本銀行とはまた内容が異なるが、極めて悪質。スルガ銀行の実態はノルマ至上主義の末、融資を審査する書類を改竄するなど「詐欺に近いスキーム」。結果として、融資を受けた投資家オーナーが損失を被ったというもの。

 

岡野オーナーの役員報酬

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自己破産するオーナーも出る中、岡野光喜会長の昨年度報酬はメガバンクトップを上回る1億9700万円。前述の通り「あれくらい大したことはない」と言っているようだが、そもそも報酬に見合う経営能力があるのであろうか。

スルガ銀行コンコルディアGrともに顧客本位に立ち返り、一日でも早く健全な経営を取り戻すべきであろう。さもなければ、すみやかに吸収合併されるなりして姿を消すべきであろう。