スルガ銀行 書類改ざん1546件、岡野会長個人に69億円を融資

金融庁スルガ銀行に6カ月停止命令、投資用不動産などの新規ローン

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シェアハウスをめぐる不適切融資問題で、金融庁は5日、スルガ銀行に対し、融資の審査書類の偽造や改ざんに行員が関与し、多額の貸し付けを行っていたなどとして、一部業務停止を命じる行政処分を出した。同庁は検査で判明した創業家の関連企業への不適切融資や反社会的勢力との取引など新たな事実を指摘、健全な業務運営態勢の整備を求めた。

発表によると、スルガ銀は10月12日から来年4月12日までの6カ月間、投資用不動産向け融資と自宅部分が建物の50%を下回る住宅ローンの新規取り扱いを停止するよう命じられた。また、金融庁は同行に対し、今年11月末までに法令遵守体制強化などの対策を含む業務改善計画の提出を求めた。スルガ銀ではすでに創業家出身の岡野光喜前会長ら3首脳が引責辞任をしているが、同庁は社外第三者による検証と責任追及を含む経営責任の明確化を命じた。

  金融庁は処分理由の中で、同行が創業家の影響下にあるファミリー企業に実行した融資(448億円)が破綻懸念のある別のファミリー企業に転貸されていたり、ファミリー企業から創業家の個人への融資(69億円)が実行されていた事実などを指摘、こうした企業との取引を適切に管理する態勢整備を求めた。また、取引先が反社会的勢力だと判明しても、与信枠の枠内で融資を続けていた実態なども指摘、適切な管理態勢の整備を求めた。

  処分を受けてスルガ銀は、現状把握している不適切行為の内容について公表。それによると、シェアハウスを含む投資用不動産融資の書類改ざんへの行員の黙認・関与が計1546件、こうした融資実行時に顧客にとって必要のないカードローンや保険商品などを売りつけるいわゆる抱き合わせ販売が534件、暴力団などの反社会勢力と分かっていながら新規口座を開設した例が46件、既存取引先が反社会的勢力だと判明した後もカードローンの与信枠内で融資を続けていた例が22件などだった。

全件調査

  今回の処分を受け、スルガ銀は5日夕、「行政処分を厳粛に受け止め、今後このような事態が再発することのないよう役職員一丸になって改善対応に取り組む」とのコメントを発表した。業務停止命令中に不動産投資向け融資を全件調査する。その後に記者会見した有国三知男社長は、ファミリー企業向け融資は全額回収していく、創業家の株式処分は会社としてコメントできる立場にない、足元十分な流動性は確保できている、などと述べた。

  また他の金融機関との資本提携については「現時点では具体的に話はない」としながら、「当社の価値が上がるという話があれば否定するものではない」と語った。

bloombergより)

金融庁:スルガ銀に6カ月一部業務停止命令ー反社融資など新事実 - Bloomberg

 

ファミリー企業への融資

スルガ銀行は1895年、岡野会長の曽祖父にあたる岡野喜太郎氏が創業。100年以上にわたり岡野家出身者がトップを務めてきた。スルガ銀行の子会社とは別に、岡野家の関連企業(ファミリー企業)は20社以上あり、スルガ銀行はこのうち10社と融資・取引関係がある。

 ファミリー企業への融資は、一時は1200億円を超えていた。金融庁の検査で、「取引の適正化」を指摘され、融資残高を減らしてきた。それでも2018年3月末時点で融資残高は488億円に上る。スルガ銀行の融資残高(約3.2兆円)の1.56%に当たる。

 ファミリー企業はスルガ銀行の株式を持つ。有価証券報告書によると、18年3月末時点の大株主上位10社のうち4社がファミリー企業で、4社合計で15.46%の株式を保有している。

スルガ銀行の大株主のファミリー企業】(2018年3月末時点)

※以下、株主名:持ち株数(単位、千株)、持ち株比率

エスジー・インベストメント(株):12,702、5.48%

・スルガ総合保険(株):10,999、4.74%

エスジー・アセット(株):6,750、2.91%

一般財団法人スルガ奨学財団:5,401、2.33%

 ファミリー企業の中核は、筆頭株主エスジー・インベストメントと第7位株主のエスジー・アセットだ。両社は東京都中央区日本橋室町に本社を置き、社長はいずれも岡野3兄弟の末弟、岡野喜平太氏。

 長男がスルガ銀行会長だった光喜氏、次男が副社長を務めた故喜之助氏。喜平太氏はスルガ銀行の役員ではないが、ファミリー企業の中核企業を率いる。

 エスジー・インベストメントは貸ビルを経営する不動産賃貸会社。一方、エスジー・アセットはデベロッパーだ。愛鷹山山麓静岡県駿東郡長泉町スルガ平で、花、美術館、食をコンセプトにした複合文化施設クレマチスの丘」をはじめ、スポーツ施設などを運営している。

 光喜氏ら3兄弟の父は、スルガ銀行第3代頭取の喜一郎氏。喜一郎氏は稀代のコレクターとして、美術界に大きな足跡を残した。戦後、彗星のごとく登場したフランスの天才画家ベルナール・ビュフェに魅せられた喜一郎氏は、私財をなげうってビュフェの作品を一点一点買い集めた。1973年、世界初のビュフェ美術館をクレマチスの丘に建設した。スルガ平では大規模な宅地分譲を行っている。

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 クレマチスの丘は岡野家の、いわば“聖地”だ。

上記のファミリー企業の448億円からは、さらに岡野光喜会長への「融資」が行われており、ファミリー企業から創業家個人への融資総額は69億円だということです。

これらの融資は、回収不能になったものを除き、全額を回収するということです。

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今後の対応

スルガ銀行では、創業家出身の前会長らが今回の問題の責任をとって先月辞任していて、有國社長は「120年間、代表者を出してきた創業家は経営から退いた。新しいスルガ銀行を作っていきたい」として、創業家との関係を断ち切って抜本的に経営の見直しを進める考えを示した。

また、前経営陣らの法的責任を追及するため、弁護士などからなる調査委員会を新たに設けており、委員会の調査を踏まえて、不正に関わった行員の処分も行う考えも示した。

 

今後、抜本的な対策を講じるにしても、銀行全体のカルチャーを変革する必要があるため、スルガ銀行単独というよりは、他行救済により改革を進めるべきではないでしょうか。