「素敵な日本人」 東野圭吾短編集
「素敵な日本人」 東野圭吾短編集
長編小説で見られるいつものスリリングな展開ではないにしろ、読み進めると一つ一つやはり東野圭吾だなあ、と納得のいくストーリー。
9つの短編のタイトルです。
- 正月の決意
- 十年目のバレンタインデー
- 今夜は一人で雛祭り
- 君の瞳に乾杯
- レンタルベビー
- 壊れた時計
- サファイアの奇跡
- クリスマスミステリ
- 水晶の数珠
一話が三十頁前後なのに、読み応えは十分あります。どれも意外性のある物語なので、読み終わった後も余韻が楽しめるんですよね。
但し、「素敵な日本人」という題名はなぜ付けられたかこれが最大のミステリー。
東野圭吾の経歴
1958年2月4日、大阪府大阪市生野区生まれ。高校2年の時、小峰元の『アルキメデスは手を汚さない』を偶然手に取り、1週間で読破してしまう(本人曰く「大事件」)。同時に江戸川乱歩賞の存在を知り、さらに松本清張の著作を読み漁るようになり、やがて推理小説を書き始める。そして処女作『アンドロイドは警告する』を数カ月で書き上げ、2作目は数年の時をかけて『スフィンクスの積木』を完成させる。内容は現在まで公開されていない。
卒業後は1年間の浪人を経て、大阪府立大学工学部電気工学科に進学。大学在学中はアーチェリー部の主将を務め、デビュー作『放課後』では題材として使われている。
大学卒業後の1981年に日本電装(現デンソー)に就職。工学系エンジニアとしての仕事の傍ら執筆活動に勤しみ、社会人時代に応募した『人形たちの家』(未公開)が、江戸川乱歩賞の2次選考を突破する。翌年に応募した『魔球』が最終候補に残り、さらに翌年の1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞。
1985年のデビュー後は、本格推理を中心に執筆。90年代以降は作風が変化し、『宿命』『むかし僕が死んだ家』『ある閉ざされた雪の山荘で』のような本格推理に拘らない新しい形のミステリや、『天空の蜂』『天使の耳』のような社会派ミステリ、『分身』『パラレルワールド・ラブストーリー』といった理系出身のエンジニアという経歴を生かした科学物、はては『~笑小説』シリーズ『浪花少年探偵団』『名探偵の掟』などのお笑い物まで、幅広い作品を執筆し続けるも、文学賞に15回連続で落選するなど、厳しい時代が続き、無冠の帝王とも呼ばれる。
それでも苦節14年、『秘密』で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞、映画化されるなど大ブレイクを果たし、やっと人気作家の仲間入りを果たす。しかしながら文学賞の落選は売れっ子になってからも続き、直木賞では5連続落選という辛酸を舐める。それでも2005年、『容疑者Xの献身』で6回目の候補にして遂に第134回直木賞を受賞、同作は本格ミステリ大賞、このミス1位など計5冠を獲得した。2014年、その直木賞の選考委員に就任。
直木賞を取ってからは、100万部越えの作品をいくつも抱える大ベストセラー作家となっている。2009年、大沢在昌に推されて日本推理作家協会理事長に就任。
毎年のように原作が映像化され、出す本は軒並みヒットを連発するなど、今や国内トップクラスの人気作家として君臨している。
映画化された作品
- 秘密(1999年9月25日、配給:東宝、監督:滝田洋二郎、主演:広末涼子)
- g@me.(2003年11月8日、配給:東宝、監督:井坂聡、主演:藤木直人、原作:ゲームの名は誘拐)
- レイクサイド マーダーケース(2005年1月22日、配給:東宝、監督:青山真治、主演:役所広司、原作:レイクサイド)
- 変身(2005年11月19日、配給:日本出版販売、監督:佐野智樹、主演:玉木宏)
- 手紙(2006年11月3日、配給:ギャガ・コミュニケーションズ、監督:生野慈朗、主演:山田孝之)
- 秘密 THE SECRET(2007年、フランス映画、監督:ヴァンサン・ペレーズ、主演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、原作:秘密)
- 容疑者Xの献身(2008年10月4日、配給:東宝、監督:西谷弘、主演:福山雅治)
- さまよう刃(2009年10月10日、配給:東映、監督:益子昌一、主演:寺尾聰)
- 백야행 - 하얀 어둠 속을 걷다(白夜行-白い闇を歩く)(2009年11月19日、韓国映画、監督:パク・シヌ、主演:ハン・ソッキュ、原作:白夜行)
- 白夜行(2011年1月29日、配給:ギャガ・コミュニケーションズ、監督:深川栄洋、主演:堀北真希)
- 夜明けの街で(2011年10月8日、配給:角川映画、監督:若松節朗、主演:岸谷五朗)
- 麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2012年1月28日、配給:東宝、監督:土井裕泰、主演:阿部寛)
- 용의자X(容疑者X)(2012年10月18日、韓国映画、監督:パン・ウンジン、主演:リュ・スンボム、原作:容疑者Xの献身)
- プラチナデータ(2013年3月16日、配給:東宝、監督:大友啓史、主演:二宮和也)
- 真夏の方程式(2013年6月29日、配給:東宝、監督:西谷弘、主演:福山雅治)
- 방황하는 칼날(さまよう刃)(2014年4月10日、韓国映画、監督:イ・ジョンホ、主演:チョン・ジェヨン、原作:さまよう刃)
- 天空の蜂(2015年9月12日、配給:松竹、監督:堤幸彦、主演:江口洋介)
- 疾風ロンド(2016年11月26日、配給:東映、監督:吉田照幸、主演:阿部寛)
- ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年9月23日、配給:KADOKAWA / 松竹、監督:廣木隆一、主演:山田涼介)
- 解忧杂货店(2014年4月10日、中国映画、監督:韓傑、主演:王俊凱、原作:ナミヤ雑貨店の奇蹟)
- 祈りの幕が下りる時(2018年1月27日、配給:東宝、監督:福澤克雄、主演:阿部寛)
- ラプラスの魔女(2018年5月4日、配給:東宝、監督:三池崇史、主演:櫻井翔)
- 人魚の眠る家(2018年11月16日公開予定、配給:松竹、監督:堤幸彦、主演:篠原涼子)
- マスカレード・ホテル(2019年1月公開予定、配給:東宝、監督:鈴木雅之、主演:木村拓哉)
- パラレルワールド・ラブストーリー(2019年公開予定、配給:松竹、監督:森義隆、主演:玉森裕太)
「人魚が眠る家」は11月16日から公開が始まったばかりですね。また、テレビドラマではありますが、「手紙」もテレビ東京で12月19日(水)に放映予定です。こちらも大いに楽しみです。
主演:亀梨和也 ドラマスペシャル「東野圭吾 手紙」:テレビ東京