インフルエンザと新型コロナウイルスの相違点と類似点 

 

そもそもインフルエンザとは?

 

インフルエンザとはインフルエンザウイルス急性感染症のことで、上気道炎症状・呼吸器疾患などを呈する。流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)略して流感(りゅうかん)とも呼ばれる。日本語ではインフル、英語ではfluされることも多い。

季節性インフルエンザには、A型、B型、C型 の3種類があり、全ての年齢層に対して感染し、世界中で繰り返し流行している。日本などの温帯では、冬季に毎年のように流行する。通常、11月下旬から12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1-3月頃にその数が増加しピークを迎えて4-5月には流行は収まるパターンであるが、冬季だけに流行する感染症では無く夏期にも流行することがある。A型は平均相対湿度50%以下になると流行しやすくなると報告されている。

 


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なぜ新型新型コロナウイルスと呼ぶか?

重度の肺炎などを引き起こす新型コロナウイルスは、SARS(サーズ)やMERS(マーズ)と同じコロナウイルスの仲間である。コロナウイルスはヒトや動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスであるが、今回のウイルスは既知のウイルスと一致しない新型のコロナウイルスである。

 

ヒトに感染するコロナウイルスは、既に6種類が知られているが、そのうち4種類は、一般的な風邪の原因となるウイルスで、ヒトに日常的に感染し、風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めるといわれている。残りの2種類は、重度の肺炎の原因となるSARS重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)。

 

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今回の新型コロナウイルスは、これら6種類には当てはまらない新しい型で、世界保健機関(WHO)では一時的に「2019-nCoV」と命名した。

元々「コロナ」はラテン語で「王冠」(ギリシャ語ではコロネ)を意味する。そのため太陽の最外層の名前にもなっているし、メキシコのビール名にもなっている。コロナウイルスは、表面にたくさんの突起が見られ、その形状が王冠に似ていることから、コロナウイルスと呼ばれている。

 

日本でのインフルエンザ死亡者数

 

全死亡のうち死因の6.9%は肺炎94,654人、0.2%がインフルエンザと言われており、インフルエンザによる死亡は3,323人である。尚、肺炎死の97%は65歳以上(別統計)である。

 

国立感染症研究所からの資料「今冬のインフルエンザについて(2018/19シーズン)」からは 2018-19年のインフルエンザ推計数は1,201万人、15歳未満が全体の41%(同p7)という結果であった。

以上の2つの資料から、2018年の日本のインフルエンザ死亡はインフルエンザ罹患推計に対し、約3,323人/1,200万人となる。

世界でのインフルエンザ死亡者数

 

肺炎は世界で年間4.5億人(人口の7%)が発症しており、うち400万人が死亡している。医学雑誌ランセットに掲載された米疾病対策センターCDC)のリポートによると、季節性インフルエンザの世界での死者数は流行するウイルスの型によって幅はあるものの、年間約29万から64万人と言われている。

 

コロナの死亡者数

 

現在も日々増えている状況ではあるが、6月3日現在で日本での感染者数は、約1.7万人、死亡者数は905人、世界での感染者数は約6.4百万人、死亡者数は既に約38万人となっている。

 

インフルエンザと何が違うか?

 

新型コロナウイルスの感染速度はインフルエンザを下回る:インフルエンザの方が、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)と発症間隔(感染源の発症から2次感染者の発症までの時間)が短い。WHOによると、新型コロナウイルスの発症間隔は約5〜6日だが、インフルエンザの発症間隔は3日ほどだ。したがって、インフルエンザの方が感染拡大のスピードが速い。一般的に感染速度は症状の重さに反比例する言われている。

 

ウイルス排出:ウイルス排出は、ウイルスが宿主に感染して繁殖し、周囲に放出しているときに発生する。したがって排出によって感染者が他人にウイルスを感染させてしまう。新型コロナウイルス感染症の患者は無症状か軽度の症状を示す初期段階に、大量のウイルスを排出している。

インフルエンザウイルスは通常、症状が現れてから最初の2日間にウイルス排出が起こり、最大1週間排出が続く。しかし、新型コロナウイルス感染症の患者は約20日間(または死亡するまで)ウイルスを排出し続けていたことが分かった。検出されたウイルス排出最短期間は8日だが、37日目にウイルスを排出していた症例もあった。このことから、新型コロナウイルス感染症の患者が、インフルエンザ患者よりもはるかに長く感染力を維持すると考えられる。

 

 2次感染:新型コロナウイルスの多くは、2つほどの2次感染を起こす。インフルエンザも一般的な肺炎などの2次細菌感染を引き起こすことがあるが、インフルエンザ患者が2つの2次感染にかかることは珍しい。

 

新型コロナウイルスを広めているのは大人:インフルエンザでは子供が感染の原因であることが多いが、新型コロナウイルスは大人の間で感染が広がっているようだ。したがって、最も深刻な影響を受けているのは、高齢者と基礎疾患がある人を中心とした大人だ。子供は、新型コロナウイルス近縁のコロナウイルスを原因とする風邪にかかりやすく、新型コロナウイルスに対する免疫を持っている可能性があると推測する専門家もいる。また、子供の免疫系は常に警戒態勢にあり、大人よりもすばやく新型コロナウイルスと戦うからとの見方もある。

 

 新型コロナウイルスはインフルエンザよりも死亡率が高い:死亡件数を症例報告件数で割った新型コロナウイルスの致死率は、これまでのところ約2%程度と言われているが、まだ報告されていない症例が多くあるため、実際はこの値を下回る可能性が高い。一方、インフルエンザの致死率は0.1%以下だ。死因については、最終医師の判断に依るため、若干の誤差を考慮に入れる必要はある。

 

新型コロナウイルスには治療法やワクチンは存在しない:新型コロナウイルス感染症の治療法やワクチンの開発は進んでいるが、ご存知の通りまだ存在しない。一方、インフルエンザ・ワクチンは存在する。


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新型コロナとインフルの類似点

感染経路は接触感染:どちらもウイルスが付着した人や物に触れた手で自分の顔を触ることで、感染してしまう(新型コロナウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染の可能性もある)。

 

症状に類似点が多い:新型コロナウイルスもインフルエンザも、さまざまな形で呼吸器系に影響を及ぼす。どちらも発熱、倦怠感、咳を引き起こす。深刻な呼吸器疾患は肺炎につながり、死に至ることもある。一般的に感染速度は、症状の重さに反比例する言われる。

 

結論としては相違点と類似点それぞれあるものの、足許の状況下感染者数・死亡者数ともに歯止めがかからないこと、明確な治療法やワクチンが開発されていないこと、経済的な打撃が極めて大きいことから、新型コロナウイルスはグローバルベースでの乗り越えていくべき大きな課題であることは間違いない。日々のライフスタイルを変えうる大きなうねりであり、人類全体で耐えて克服していくしかない。