本格化するGo To キャンペーン/税金のバラ撒きは将来の消費税増税が前提

事業総額1兆6794億円が計上されており、豪雨災害や地震災害で実施されてきた「ふっこう割」の30~80億円と比べてもケタ違いに大きな予算が組まれている。これは、同じ補正予算に盛り込まれたPCR検査の拡充など医療機関への支援、約1兆8000億円とほぼ同じ規模です。

 

Go To キャンペーンは4つの柱で構成されているが、中でも訪日外国人旅行者が誘致できなくなった宿泊・交通・土産などの観光関連産業が受けた打撃が大きかったことから、「Go To トラベル」には1.1兆円が投入され、旅行の需要が増えると大きな期待が持たれている。

 

 

①Go To トラベル

 

旅好きなら見逃せない!「Go To トラベル キャンペーン」のポイント ...

 

 

2020年7月22日開始、2021年1月末まで実施予定(修学旅行は3月末まで)

東京都は2020年10月1日からスタート

 

半額相当の宿泊割引やクーポンなどを付与(最大1人あたり1泊2万円分)。

旅行代金の最大50%が補助される。50%の内、7割(35%)が旅行代金の割引、3割(15%)は地域共通クーポンの配布によって補助される。

 

また、これとは別に全国各地の自治体でも新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ地元の観光業を盛り上げるべく、独自にさまざまな支援策をスタートしている。(一部併用可能)

 

<注意すべき点>

・他のキャンペーンも同様であるが、新型コロナウイルスの感染状況によってはキャンペーンの中止、早期終了の可能性がある。

・他のキャンペーンも同様であるが、予算がなくなったら時点でキャンペーンは終了となる。

・現時点での地域共通クーポンは登録店舗数は、当初予定の約10分の1で全国で10万店舗程度にとどまっている。但し、国交省今後、登録を増やしていくとしている。

 

 

②Go To イート

 

GO TO EAT】食事券、販売開始は最短で10月初旬から。各地で1ヶ月程度の ...

 

 

2020年10月1日からスタート

 

(プレミアム付食事券)

終了日:プレミアム付食事券の販売は1月末まで。食事券の利用は3月末まで可能。

飲食店で使用可能な「プレミアム付き食事券」は、1万2500円分使える食事券を1万円で購入できるという。食事券は各地域の販売窓口で販売されます。1回に購入できる上限額は2万円(2万5000円分)まで。「プレミアム付き食事券」は発行は都道府県ごとに準備が進められており、販売場所や使えるお店、利用開始時期は地域ごとに異なる。

 

(オンライン予約のポイント付与)

終了日:オンライン予約のポイント付与は1月末まで。ポイントの利用は3月末まで可能。

オンラインサイトで予約した消費者に飲食店(旅行先に限らない)で使えるポイントを付与(最大1人あたり1000円分)。

 

<注意すべき点>

・プレミアム付き食事券は販売数が少なく、1回の購入で2枚(2万円)という販売制限のため、入手困難になることが予想される。

・地域ごとに窓口で販売される予定であるが、並ぶ必要があるため、人口の多い都会や住宅地では大行列ができる。

・「プレミアム付食事券」は指定された県内や地域限定でのみで使用可能。

 

 

③Go To イベント

 

開始時期未定

チケット会社経由で、イベントのチケットを購入した消費者に割引・クーポンなどを付与(2割引)。

 

■イベント対象

音楽コンサート、スポーツイベント・試合、演劇、伝統芸能、映画館、博物館、美術館、遊園地、展示会、無観客ライブ配信などの新たな形式のもの

■割引内容

A.チケット代金の割引(2割引)

B.会場などの物販で利用できるクーポンの付与(2割相当)

C.購入したイベントとは別のイベントやエンターテイメントのチケット購入に利用できるポイントの付与(2割相当)

 

 

④Go To 商店街

 

開始時期未定

商店街などによるイベント開催、プロモーション、観光商品開発などの支援。生活に密着した食料品や日用品の需要喚起を促す。

 

■イベント実施支援金を支給

イベント、キャンペーン、プロモーション、観光商品開発などを実施する商店街へ300万円を上限に支援金を支給。広域連携で企画等を実施する場合は500万円を上乗せ。

■専門的支援を行う

イベントを実施する商店街に対し、専門的なノウハウや人材派遣による支援を行う。

■広報を行い情報発信する

 

典型的なバラ撒きによる需要換気

 

ベーシックインカムはばらまきなのか? | ベーシックインカムについて

 

そもそも税金を使った政府主導の場当たり的なキャンペーンで泥縄式に需要喚起をしようとするのは愚の骨頂である。安倍政権から続く自民党政権は「税金をバラ撒いて需要喚起」の政策が多い。緊急経済対策や地方創生はもとより、キャッシュレス・ポイント還元事業、マイナポイント事業など数え上げればキリがない。社会構造が変わろうとしている中で、小手先の対応では、効果は限定的となるだろう。

 

観光に飲食・商店街支援などを加えた予算総額は約1.7兆円、委託費はその2割弱を占める。大手旅行代理店などで作る事務委託先の「ツーリズム産業共同提案体」にもトラベル事業で予算の1割超にあたる1,866億円をバラ撒く。(国会で承認されたの委託費上限は、国土交通省観光庁の観光支援が2,294億円、農林水産省が行う飲食店支援が469億円、経済産業省の商店街・イベント支援は332億円。)

 

Go To トラベルに固執する背景

 

基本的には、インバウンドの外国人がいなくなった現在、旅行業界を再生するための需要喚起策である。

加えて、自民党の二階幹事長が一般社団法人全国旅行業協会の会長であることも大きく関係していると思われる。委託費は上記の通り巨額であり、過去に持続化給付金での再委託問題などもあったことから、“利権”を疑いたくなるのは当然である。

 

”未曾有”の借金財政

 

2020年度の新規国債発行額は過去最高となり、財政赤字は対GDP国内総生産)比で250%を超える“未曽有”の借金財政に突入する。2020年度の第2次補正予算は約31.9兆円。第1次補正予算は約25.7兆円。合計約57.6兆円。事業規模は200兆円を超えるとされる。これはGDPの約4割の水準で、大半を赤字国債で賄う。

 

バラ撒き政策は、”将来へのツケ”に他ならない。既に予算取りされた以上、Go To キャンペーンを利用することは、国内経済回復にある程度寄与するものと思われるが、「将来の消費税増税」が前提であることは忘れてはならない。