サマータイム導入は、本当に必要か?

オリンピックの暑さ対策のためサマータイム導入を検討中

 

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記録的な猛暑を受け、全国一律で夏に時間を早めるサマータイムの導入が政府・自民党内で取り沙汰されている。2020年東京五輪パラリンピックの暑さ対策の1つとして、大会組織委員会が政府に提案したのがきっかけだ。過去も何度か導入案が検討されながら見送られた歴史がある。長所と短所の両面があり、決め手を欠いたためだ。

 

サマータイムは日照時間の長い夏の一定期間、時刻を1~2時間早める制度だ。緯度が高く、夏と冬で日照時間の差が大きい地域で採用されることが多く、欧州や北米を中心に60を超える国で導入実績がある。

 経済的なメリットもある。省エネや温暖化ガス削減だ。まず照明をつける時間が減る。気温が比較的低い朝から活動を始めると冷房の使用も減る。日本生産性本部の04年の報告書は、原油換算で93万キロリットル分の省エネになるとはじいた。全国民が使う冷蔵庫の消費電力40日分に相当する。

 夕に余暇が増え消費拡大になるかもしれない。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、名目家計消費が7500億円増えると試算する。永浜氏は「システム変更で設備投資が押し上げられる可能性もある」と話す一方「労働時間が増えれば効果が縮減される」とも指摘した。

 デメリットは何か。欧州では生活リズムが変わり体調に悪影響があると懸念が膨らむ。

 社会・経済的なコストもある。導入は日付や時刻が関わるすべてのシステムに影響を与えるからだ。航空機や電車の運行に障害が生じれば生死につながる。企業の決済などにも波及し、システム変更は膨大だ。立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授は「システム改修の時間を考えれば、五輪前の導入は不可能」と語る。行政のシステム改修には約5年かかると見積もる。「ソフトウエア更新に便乗してサイバー攻撃が増える可能性がある」とも強調する。

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 今回の導入論の契機は20年7月下旬に開幕する東京五輪への懸念だ。暑さ対策のため、マラソンのスタートを当初より30分早めて午前7時にした。だが今夏はそんな対策がかすむ暑さだった。欧米メディアが開催時期そのものに疑問を呈し、さらなる対策が必要だと盛んに報道した。

日本経済新聞より)

サマータイム、長所・短所は? システム対応に懸念も :日本経済新聞

 

日本にもあったサマータイム

かつて日本では、1948年〜1951年までの3年間、サマータイムを導入していました。

第二次世界大戦の敗戦後、米軍などになどよって占領統治されていた時期のことです。

夏時刻法という法律が制定され、既定の時刻に1時間加えたタイムゾーンを採用した形で、5月の第1土曜日から9月の第2土曜日までの期間、夏時間としていました。

当時のGHQが夏時間を導入したと言われていますが、1952年になって、講和条約により、日本が政治的に独立をする直前になって、夏時刻法は廃止の運びとなりました。

廃止の理由としては、農家の生活のリズムの崩れ、残業が増加する労働条件の悪化、交通機関の混乱などが挙げられています。

やはり当時の日本においては、農業で生計を立てる人口が多く、時計で動くのではなく、太陽の動きによって人間の営みをしてきた人々にとっては、夏時刻になったとしても、なかなかその1時間のタイムゾーンになれなかったというのが廃止の最大の原因とされています。

今は農業で生計を立てる方々の比率は昔に比べると大幅に減っていますが、「まだこんな時間か」ということで残業が増える可能性は確かにありますね。

 

欧州連合EU)のサマータイム廃止への動き

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 2020年東京五輪パラリンピックの暑さ対策として、安倍晋三首相が時間を夏季だけ早めるサマータイム(夏時間)導入の可否を検討するよう自民党に指示する中、欧州連合(EU)は長年続ける夏時間の存廃の検討を本格化させている。

 標準時を年2回、1時間前後させることによる健康への悪影響や、想定されたほどの省エネ効果が得られないことなどが指摘されるためだ。

健康への悪影響の度合いは、人により異なるとは思いますが、少なくとも年2回(変更日の当日)、人と待ち合わせている場合などは多少ドキドキするかもしれませんね。

 

オリンピックはなぜ夏に行うのか?

元々の理由は、オリンピック発祥の地であるギリシャや、イギリス、アメリカなどのキリスト教圏では8月や9月に学校の新学期が始まるために、新学期前にオリンピックを開催するのが区切りが良いと考えられてきました。。

最近では、8月開催最大の理由はアメリカのテレビ局が儲かるようにしているためだとも言われています。MBL(メジャーリーグベースボール)は秋からポストシーズンに入りますし、NBA(バスケットボール)もシーズンが開幕します。

アメリカでは視聴率が高いほどスポンサーから高いCM料を貰えるシステムになっていますが、このシーズンにオリンピックが重なると視聴率がとれずテレビ局の収益が下がるので、アメリカ側の意向で8月開催までが多くなっているんです。

平たく言うと『オリンピックは完全なビジネス』になっているということです。

 

サマータイム導入は、本当に必要か?

東京オリンピックの開催時期はすでに決められており、変更できないため何らかの対策を考える必要はありますが、1時間早くしたところで夏は朝から暑いことには変わりありません。

また、欧州連合EU)では日本とは逆に、健康への悪影響を理由に、サマータイム廃止について議論がなされているところです。

サマータイム導入により、日本人全員が影響を受けることや、メリット・デメリットを比較してトータルで考えると、結論としては特に導入しなくてもいいのではないでしょうか。寧ろ、導入すべきでないというのが正しい言い方なのかもしれません。

 

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一方、オリンピックの暑さ対策として、マラソンなどの屋外競技は夕方から夜にかけて開催するか、北海道などもっと涼しいところ(東京オリンピックと言いながら、かなり遠くなるが、一部の競技は東京都以外でも行われる予定)で開催してはどうでしょうか。