スルガ銀行の不適切融資は、融資総額1/3の約1兆円

スルガ銀、不適切融資1兆円 書類改ざんなど

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シェアハウス投資に絡む不正融資を巡り、スルガ銀行の第三者委員会が実施した調査の概要が21日、分かった。審査資料の改ざんなど不適切な行為に基づく融資が1兆円規模にのぼるとした。スルガ銀は第三者委の調査結果を受けて、経営責任の明確化を含めて抜本的な体制刷新を迫られる。

 同行は地銀のなかで突出して高い収益率で知られてきたが、無理を重ねていた実態が改めて浮き彫りになった。長引く超低金利や地域経済の地盤沈下は地銀の経営を圧迫している。過剰なノルマが不適切な融資を誘発する懸念は他の金融機関にもある。

   スルガ銀では不適切な手続きによる融資が横行していたが、財務内容の悪化に直結するわけではない。審査で不適切な行為があっても、融資先のアパート経営は順調な例も多いためだ。同行は6月にシェアハウス以外の投資用不動産融資が焦げ付くリスクに備えて2018年3月期に155億円の貸倒引当金を追加計上。18年4~9月期に実施する資産の自己査定で、さらに詳しく調べる方針を明らかにしている。

 第三者委(委員長=中村直人弁護士)は8月末にも調査報告書を公表する方針だ。不適切な手続きが横行していたのはシェアハウスのほか、アパートやマンションを含む投資用不動産融資だ。

 同行の融資総額は3兆1500億円で、このうち投資用不動産融資は約2兆円。不動産関連融資は1兆円程度とみられていたが、「住宅ローン」として公表していたものにも含まれており、2倍に膨らんだ。融資総額の3割超、不動産融資の半分程度が不適切に実行されていた。

 

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 不適切な手法の一つが二重の売買契約書だ。行内ルールでは融資上限を物件価格の90%としている。販売業者が借り入れ希望者と結ぶ契約書には実際の物件価格を表記するが、販売業者がスルガ銀に出す契約書の物件価格は実際より高くする。それを行員が見逃すことで全額を融資していた。

 中古のアパートやマンションへの融資でも、入居率や家賃収入などを記載した書類が偽装されている事例が見つかった。空室率が高く、半ば不良化している物件でも、稼働率の高い優良な物件に見せる手口として使われていた。

 第三者委関係者によれば、借り入れ希望者の年収や預貯金残高を水増ししていた例も含め、手続きに何らかの不適切な行為が入り込んでいるのは投資用不動産融資の過半に達しているという。

 経営を監督する立場にある取締役らについては、民法上の規定で株主などから委託を受けて注意深く業務を遂行する「善管注意義務」に違反したと認定する方向だ。「毎月1億円の有担保ローンの実行」といった苛烈なノルマが行員を駆り立て、営業担当の元専務は不適切な融資を黙認。取締役らも見逃していたという。

 同行に立ち入り検査中の金融庁は、第三者委の調査結果も踏まえてスルガ銀の経営責任を厳しく追及する構え。スルガ銀は現在、新規の不動産融資の実行を事実上、止めている。不適切な営業や審査に関与した行員は全従業員の2割にあたる300人以上にのぼるとみられる。

(日本経済新聞より)

スルガ銀、不適切融資1兆円 書類改ざんなど :日本経済新聞

 

 

引当金積み増しにより、今期は赤字!?

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融資総額約3兆円のうち不動産融資が約2兆円、またそのうちの半分である約1兆円が不適切融資とは極めて高い比率です。ここで気を付けないといけないのは、不適切イコール不良債権ではないということです。

不動産融資は通常不動産担保を取るため、何割かはそれでカバーされています。不動産担保は、不動産の時価を評価してそれに70%前後の掛け目をして(掛け目が低いほどより銀行とってはより安全)、基本的に全額を回収すべく融資を行います。但し、今回のスルガ銀行のケースは不適切融資(掛け目が100%前後)ということなので、不動産担保で回収をカバーしきれない部分が相応にあるものと思われます。

よって前期に155億円の貸倒引当金を追加計上したようですが、その程度の引当では多分不十分と言えるでしょう。これから行う自己査定の結果次第ではあるが、不適切融資の1~2割前後は最低限引当が必要となるのではなかろうか。(あくまで推測であるが...)

自己資本が大きく毀損することになれば、単独での生き残りは相当難しくなると思われる。

 

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いずれにしても、全従業員の2割にあたる300人以上が、不適切融資に関与しており、会社ぐるみの組織的犯行であったことは明らかである。金融庁行政処分を検討中であるが、被害者の人数や全体(合計)での損失状況次第では経営者等の逮捕者が出てもおかしくない状況と言えそうだ。