映画「クヒオ大佐」 1億円を騙し取った実在の結婚詐欺師
映画「クヒオ大佐」あらすじ
1990年代初頭、クヒオ(堺雅人)は、自分はアメリカ軍特殊部隊のパイロットで、エリザベス女王とも血縁関係にあたるなどと吹聴し、次々と女性たちをだましていた。だが、実際彼は純粋な日本人で、華麗な経歴もすべて自ら作り出したものだった。弁当店を営むしのぶ(松雪泰子)も彼の立派な軍服姿にころりとだまされ、懸命にクヒオに尽くすが……。
実在の結婚詐欺師
英語も話せない純日本男が、米軍パイロットの制服と怪しげなカタコト日本語だけでアメリカ人に化けて、女を騙すなんて、あり得ない。海外旅行が今ほどポピュラーではなかったちょっと前の時代。騙される側の心理には、大国、先進国のアメリカに憧れと負い目を感じる複雑な感情があるというのだ。確かに、アメリカ人と交際しているだけで優越感をくすぐられるなんてことは、誰にでもあるかもしれない。そんなアメリカ・コンプレックスの上に危うく成り立っている騙し合いという切り口が、まず面白い。コンプレックスのない被害者の弟が、電話1本でクヒオの正体を見破るシークエンスにその状況が鮮やかに出ている。そしてクヒオ自身が誰よりもそのコンプレックスに囚われているとしたことで、人間ドラマとしての面白さも出た。現実の自分から最も遠い存在であるアメリカ軍人になることで、彼は辛い過去を否定し、理想の自分になろうとしたのではないか。うら寂しいアパートに帰って1人になってもアメリカ人姿勢を崩さない彼に、その必死の思いを感じて可哀想になり、同時に笑ってしまった。軍人をアピールして突然腕立て伏せを始めたり、騙す相手の車を追って全力疾走、息も絶え絶えになったり。本人が必死になればなるほど、おかしさがアップする演出が小気味いい。
(Yahoo!映画より)
解説・あらすじ - クヒオ大佐 - 作品 - Yahoo!映画
実話なので、パロディと言ってしまうと少し違うかもしれないが、コンプレックスに囚われた主人公が空想の世界から抜け出すことができず、結婚詐欺師として生きる姿はやや微笑ましい。
クヒオ大佐の本名や経歴
名前:ジョナサン・エリザベス・クヒオ
年齢:37歳
国籍:アメリカ合衆国(日本国籍も同時に取得している”二重国籍”)
出身地:ハワイ
父親:カメハメハ大王の末裔
母親:エリザベス女王の双子の妹
(経歴)
- 6歳でワシントン大学を卒業
- 10歳でミネアポリス士官学校の入学資格を取得しかし、体格の問題で入学を15歳まで辞退。
- 10~15歳の5年間でエール大学に在籍し、弁護士資格を取得。その後、東京大学 法学部 大学院で法学博士号を取得。ケンブリッジ大学にも留学経験あり。
- ミネアポリス士官学校卒業後、アメリカ海軍に任官。その後、空軍に転籍となり、ベトナム戦争や湾岸戦争に特殊舞台パイロットとして参加。
- 私と結婚すれば、軍から5000万円の結納金が支給される。またイギリス王室からも5億円のお祝い金が出る。
- ウェディングドレスはダイアナ妃のドレスも手がけたデザイナーに依頼して製作してもらう。
- 結婚式は故郷のハワイで盛大に行い、仲人は田中真紀子、司会はKONISHIKIに依頼して快諾してもらっている。
結構空想とはいえユニークな経歴ですね。冷静に判断すればおかしな点あ多々あるように思われますが、恋は盲目ということでしょうか。
クヒオ大佐の本名は、「鈴木和宏」
のちに判明した事実によれば、クヒオ大佐を演じていた男の本名は「鈴木和宏」。
ごく日本的な名前を持つ鈴木ですが、出身地は北海道で、当時の年齢は36歳、身長は軍人と名乗るには小さく165cm程度と小柄であった。
クヒオ大佐はこれまでに10回ほど逮捕されています。1984年には1億円の結婚詐欺容疑で逮捕され、5年の実刑判決が言い渡されました。ところが、逮捕されても改心することはなく、クヒオ大佐は同様の手口で結婚詐欺を働き続けたようです。
1999年、10回目の逮捕となり2000年の裁判で懲役5年の判決が出たクヒオ大佐。2017年現在、生きていれば75歳になると言われています。稀代の結婚詐欺師は、今もなお新たな詐欺手口で多くの人を騙しているのではないかとの噂があります。
結婚詐欺の手口
結婚詐欺師は、「結婚に焦っていて、かつお金をしっかりと貯めている女性」との出会いを貪欲にねらっています。婚活パーティーでは、「医師限定」「弁護士限定」「年収700万円限定」などと謳ったものもあり、気軽に参入することができますが、そのような「・・限定」を謳った大半の婚活パーティーは、身元確認をほとんどしていません。
ある程度貯金がありそうだったり、実家がお金もちだったり、社会的地位が高くお金を簡単に借りられそうな女性は、ターゲットとして見初められ、結婚を前提とした交際を持ち掛けられます。
お金を引き出す口実は「事業に失敗した」「事故にあった」「詐欺にあった」「結婚式の費用を振り込んでおく」など様々です。「自分を助けてくれ」というのではなく、あくまで「2人の将来のために」と言い、女性からお金を引き出せるだけ引き出します。
この時、信用を得るために第三者を巻き込むことも珍しくありません。彼の両親が出てきて、「〇〇をよろしくお願いします」と頭を下げたりすることもあるのですが、彼らは家族などではなく、単なる詐欺集団なのです。結婚詐欺師は同様の犯罪を頻繁に繰り返していることが多く、仕事を済ませたらすぐにまた場所を変えて新たな獲物を狙いにいくのです。
近年、多様な婚活サービスが登場しており、見ず知らずの人と気軽にコンタクトがとれるようになってきています。「名刺をもらったから」「〇〇の両親に紹介してもらったから」というのは、その人の身元を保証するものではありません。特に名刺はだれでも作成できるものです。いろいろな手口の詐欺師が世の中にはいるので、可能な限り気を付けましょう。