日産ゴーン会長を逮捕 金の亡者で会社を私物化

 

東京地検特捜部は19日、自らの役員報酬有価証券報告書に過少に記載した金融商品取引法違反の疑いで、日産自動車代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)を逮捕した。共謀したとして代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)も逮捕。倒産寸前だった日産をV字回復に導き、仏ルノー・三菱を加えた3社連合で販売台数世界ナンバー2に押し上げた剛腕のよもやの逮捕劇。

 

「ゴーン 日産」の画像検索結果

 

今回のクーデターの背景

先月、フランスのマクロン大統領と安倍晋三首相が首脳会談を行ったが、その場でマクロン大統領が、仏ルノーと日産の経営統合・合併を目指す意向である旨を伝えたのではないかという話がある。現在、ルノー筆頭株主はフランス政府であり、マクロン大統領は国内の雇用創出のためルノーに対して日産との合併を働きかけるなど、露骨に経営に介入してきた。そんなマクロン氏と鋭く対立してきたのがルノー会長兼CEOのゴーン氏で、マクロン氏にとってゴーン氏は大きな障害であった。そんなゴーン氏を失脚させるために、フランス政府が逮捕劇の裏で糸と引いているのではないかという説が根強い。

「マクロン 安倍」の画像検索結果

 

一方、日産経営陣にとっても、ゴーン氏の退任は決して悪い話ではない。

ゴーン氏が日産に乗り込んで来てから約20年間、その強権的な経営によって、多くの役員、社員が日産から追い出されてきた。西川社長をはじめとする現経営陣も、所詮はゴーン氏の言いなりで、いつ梯子を外されるのか戦々恐々としていた。言ってみれば、ゴーン氏がいる限り自由に経営はできず、ゴーン氏がいなくなって一番スッキリしているのは、現経営陣かもしれない。

 

金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)

 特捜部の発表によると、ゴーン会長とケリー代表取締役の2人は共謀のうえ、2010~14年度の5年度分の有価証券報告書に、実際はゴーン会長の報酬が計約99億9800万円だったにもかかわらず、計約49億8700万円と過少に記載した疑いがある。

日産の有価証券報告書によると、ゴーン容疑者の報酬は28年度までは3年連続で10億円を超えていたが、29年度は7億3500万円で、過去最高だった28年度の10億9800万円から3割以上減少していた。

 

海外の日産子会社はブラジル、フランス、オランダ、レバノンの世界4カ国で高級住宅を購入していたが、ゴーン容疑者は賃料などを支払わずに、これらの住宅を私的に利用していた。住宅の購入費や改築費は数十億円に上るとみられるが、有価証券報告書には報酬として記載がなかったという。

これらの住宅の無償利用に関与した外国人執行役員が、特捜部との司法取引に応じたとみられる。執行役員は法務部門の幹部で、これらの不正について、特捜部に証言するとともに関係証拠を提出したという。執行役員は合意に基づき、刑事処分が軽減される。

 

司法取引とは

関係者によると、ゴーン会長に対する捜査をめぐっては、捜査に協力する見返りに刑事処分を軽減する司法取引制度が適用された。同社の社員がゴーン会長の不正について捜査に協力したとみられる。同制度は今年6月に始まり、7月の三菱日立パワーシステムズの元取締役らが在宅起訴された外国公務員への贈賄事件に続き、適用は2例目。

 

高級住宅を無償で利用

ゴーン容疑者は、ニューヨーク、オランダ、ブラジルのリオデジャネイロ、パリ、レバノンベイルート、そして東京の6カ所で、日産側が保有する高級住宅を自らが利用しているという。

このうち、出生地であるリオデジャネイロと、幼少期から高校時代を過ごしたベイルートは、まさに、ゆかりの地で、日産がおよそ60億円を出資して設立したオランダの子会社を通じて購入され、ゴーン容疑者に無償で提供されていたとみられる。

 

ベルサイユ宮殿で晩餐会

「ゴーン 私物化」の画像検索結果

 

「キャロルとカルロス・ゴーンが、王と女王にふさわしい結婚式を挙げた」――。そんな見出しで、海外メディアがゴーン会長の結婚パーティーの様子を報じた昨年3月の記事だ。

 ゴーン会長が片手をポケットに突っ込み、妻と腕を組んで笑顔で歩く写真が大きく掲載されている。会場はベルサイユの大トリアノン宮殿。2人の両脇では、18世紀のフランスを再現した豪華な衣装で着飾った男女が笑顔で迎える。映画「マリー・アントワネット」をイメージした晩餐(ばんさん)会だったという。

ここ数年は、世界のセレブに交じって、ゴーン会長夫妻が手をつないでカンヌ映画祭でレッドカーペットを歩く姿も毎年のように報じられている。

 

今後の3社連合への影響

ルノー日産自動車三菱自動車の3社連合の雇用者は47万人に達する。122の工場を運営し、2017年の自動車販売台数は1060万台を数えた。3社はそれぞれのブランドで自動車を販売しながら、2つの大陸に軸足を置き、ある部分では3社が一体的な働きをみせてきた。

コックス・オートモーティブのシニアアナリスト、レベッカ・リンドランド氏は、3社連合が分裂することはないが、混乱が生じることは間違いないだろうと指摘する。

ゴーン容疑者はルノーのCEO職を22年までに退くことなどが決まっていたため、3社連合はすでに後任探しに動いていた。今回の件を受けて、こうした動きが加速する可能性がある。

リンドランド氏は「日々の業務を行う人たちの多くに変化はないだろう。しかし、幹部の一部には影響が出るだろう」と指摘。企業トップに混乱が生じた場合には騒ぎが生じるものだとの見方を示した。(CNNより)

CNN.co.jp : 日産のゴーン会長逮捕、3社連合への影響は - (1/2)

 

今回の逮捕はゴーン個人の問題ではあるが、2022年までに販売台数を3割以上伸ばす計画などの績への影響は計り知れない。また、3社連合の行方も今後の日本経済に大きな影響を与えるものと思われる。